左手は強く使う.
うまい人とのスピードの違いは,大胆な手の動きにある.特に左手の動きが大事.丁寧なつもりでそっとそっとやっていると,時間がかかる.スピーディにやるためには,左手サクションで組織を,大胆に引く,抑える,よける.
手術は左手の動きが大事とはよく言われるが,術中にしっかりこれを意識しないと,左手は大胆に動かない.症例をこなして慣れれば,動くようにはなるが.初心者・中級者は意識して左手を大胆に使う.自分の感覚より,強めに左手を使っても,だいたいは問題ない.むしろビビリすぎていることが多い.特に山場に近づくと.もちろん,神経や穿通枝を引っかけないようにはしなければいけないが,視神経なんか思ったより動かしても大丈夫・・・かな.
2006/10/28
左手はむしろ力強く
基本はやっぱり左手サクション
左手には,もちろんいつもサクションを持つ.マイクロの手術では,出だしから2番サクションで,少々も込みいってきてもこれでなるべくこれで進める.細いサクションを持つと手術の展開が遅くなってしまうから.脳や血管を傷つけたくないと思うと,つい細いサクションにして丁寧にやってる気分になるが,そこは自分に言い聞かせて太めでがんばる.でも,狭くなってきたらスパッとフクシマサクション4Mか4Lに切り替える.なるべくこれで頑張る.動脈瘤のNeckを剥離なんてところでは3Lにすることもある.NeckとA2の間に隙間がなければ,2Lも使う.
何かにとらわれず,場面・場面で最適なサクションを大胆に選ぶ.
サクションは必ず手元から数cmで30度曲げる.これで,視野が開ける.顕微鏡のじゃまにならない.
バイポーラはゆっくり開く
バイポーラで剥離をする時は,ゆっくり開く.
Sylivan fissureなどを剥離するときは,バイポーラで鈍的剥離を少しずつして,突っ張ったくも膜やTrabeculaをハサミで切って展開していく.動脈の周囲でバイポーラをサッサッサ,パッパッパと素早く開き・閉じを繰り返すと,うかつにPerforatorを引っかけてしまう恐れがある.Acom周囲でこれをやると,Heubnerをひっかけてえらい目に遭うかもしれない.
なので,バイポーラの使い方は,常に自分に言い聞かせて,ゆぅっくりと開く.血管を引っかけてないか,注意しながらゆっくりと開く.動脈を引っかけていたら,開く手をぴたっと止める.開いて,Trabeculaが突っ張っていたら,サクションをそこに入れて,血腫や髄液を吸引して視界を良くしてからハサミで切る.
この作業を繰り返す.
慣れると,ゆっくりと手を動かしているように見えて,結構スピーディーなアプローチが可能になるかも.
バイポーラはゆっくり開く.