2008/02/09

SAHの手術は予測が大事


手術をアクシデント無く,スピーディに進めるためには,予測が大事です.当たり前ですが,意外と忘れがち.
SAHの時,血腫を吸って構造物を確認していきます.確実に見て確認することはもちろん大事ですが,いちいちそれでは時間がかかります.何も考えずに血腫を吸っていて,見えた時には血管を吸っているかもしれません.
左のイラストは,リリケスト膜を破るために,IC外側の血腫を吸っているところです.漫然と吸っていると,前脈絡叢動脈(Anterior choroidal artery)を引っかけるかもしれません.そこに血管があることを強く意識しながら血腫を吸うと,ちらっと血管が見えただけで,確認することが出来てトラブルを回避できます.







こちらは(前交通動脈瘤)Acom ANに向かってアプローチしているところ.右前頭葉を視神経と剥離しつつめくっていきます(動脈瘤は後ろを向いているので,すぐには出てきません.)
聞かれれば,そこにA1が出てくるのは知っているはずですが,ついついめくってみて,見て,初めて手が止まります.
そうではなくて,そこにA1があるのを強く意識して(警戒して)めくっていけば,血腫の間からちょっと見えた段階で,手が止まり安全に手術を出来ます.

しつこいですが,当たり前のようで,いざその時に忘れがちです.