2006/12/05

開頭血腫除去術 開頭のこつ

脳出血の開頭は,なれないうちは大きめにする.
Corticotomyは数cmですむので,基本的には大きな開頭は必要ないが,小さい開頭は,硬膜切開の時に脳がふくれあがってしまう.

皮切は,開頭をかこむようなクエスチョン型(前頭側頭開頭),側頭部・後頭部は山型で裾を広くする.
慣れてきたら上記の理由でStraight incisionで十分になる.

小脳出血は腹臥位→両側後頭開頭が多いが,側臥位で頭をさらに回して,血腫直上にStraight incisionして開頭すると早い.(急ぐときはむしろそうすべきという意見というか,提言というか,命令?もあります.)しかし,これをやってみると,術野は十分広いが,術者の体勢がとても窮屈になり,かえって時間がかかる場合もあります.それなりの経験がないとできないかもしれません.

2006/11/18

開頭血腫除去のこつ01

血腫除去のこつ
皮切: Straight skin incisionでも充分
Corticotomy:皮質のみではなく皮質下まで一気にする.
Corticotomyの入り口はくずれやすいので,サージセルをしいておく.
Approachの方向は一番大事な部分に向かっていく.

血腫は転がすようにして取り出す.
ブラインドになるところにサクションをつっこまない.
サクションは3,4番もつかってどんどん血腫をとる.時には両手にサクションを持つことも.
右手がバイポーラなら,血腫を割る.バイポーラを開き気味にしてフォークのように血腫に突き刺し,サクションと交互に使って血腫を回転して引きずり出す.
右手に脳ベラでも良い.
血腫を吸っていて,壁に近くなり液状成分が出てきたら血腫腔に薄い綿を敷いて,それを介して吸引し視界を良くする.

2006/10/28

左手はむしろ力強く

左手は強く使う.
うまい人とのスピードの違いは,大胆な手の動きにある.特に左手の動きが大事.丁寧なつもりでそっとそっとやっていると,時間がかかる.スピーディにやるためには,左手サクションで組織を,大胆に引く,抑える,よける.
手術は左手の動きが大事とはよく言われるが,術中にしっかりこれを意識しないと,左手は大胆に動かない.症例をこなして慣れれば,動くようにはなるが.初心者・中級者は意識して左手を大胆に使う.自分の感覚より,強めに左手を使っても,だいたいは問題ない.むしろビビリすぎていることが多い.特に山場に近づくと.もちろん,神経や穿通枝を引っかけないようにはしなければいけないが,視神経なんか思ったより動かしても大丈夫・・・かな.

基本はやっぱり左手サクション

左手には,もちろんいつもサクションを持つ.マイクロの手術では,出だしから2番サクションで,少々も込みいってきてもこれでなるべくこれで進める.細いサクションを持つと手術の展開が遅くなってしまうから.脳や血管を傷つけたくないと思うと,つい細いサクションにして丁寧にやってる気分になるが,そこは自分に言い聞かせて太めでがんばる.でも,狭くなってきたらスパッとフクシマサクション4Mか4Lに切り替える.なるべくこれで頑張る.動脈瘤のNeckを剥離なんてところでは3Lにすることもある.NeckとA2の間に隙間がなければ,2Lも使う.
何かにとらわれず,場面・場面で最適なサクションを大胆に選ぶ.
サクションは必ず手元から数cmで30度曲げる.これで,視野が開ける.顕微鏡のじゃまにならない.

バイポーラはゆっくり開く

バイポーラで剥離をする時は,ゆっくり開く.
Sylivan fissureなどを剥離するときは,バイポーラで鈍的剥離を少しずつして,突っ張ったくも膜やTrabeculaをハサミで切って展開していく.動脈の周囲でバイポーラをサッサッサ,パッパッパと素早く開き・閉じを繰り返すと,うかつにPerforatorを引っかけてしまう恐れがある.Acom周囲でこれをやると,Heubnerをひっかけてえらい目に遭うかもしれない.
なので,バイポーラの使い方は,常に自分に言い聞かせて,ゆぅっくりと開く.血管を引っかけてないか,注意しながらゆっくりと開く.動脈を引っかけていたら,開く手をぴたっと止める.開いて,Trabeculaが突っ張っていたら,サクションをそこに入れて,血腫や髄液を吸引して視界を良くしてからハサミで切る.
この作業を繰り返す.
慣れると,ゆっくりと手を動かしているように見えて,結構スピーディーなアプローチが可能になるかも.

バイポーラはゆっくり開く.