2008/01/14

Pterional approach 静脈はなるべく側頭葉側に残す理由

年末年始,更新するパワーを失っておりました.
年賀状で,奇特にもここを見てくれている方がいるとわかりましたので,今しばらく更新を続けようという活気がわいてきました.
2007年末はCEAを毎週していてたので,クリッピングや血腫ネタはあまりなくて,CEAネタが増えそうです.
と,言いながら今回は動脈瘤ネタです.


前頭側頭開頭,Pterional approach(Transsylvian approach)で,最初にすることはSuperficial sylvian veinを分けることですが.初心者には一般的に静脈と前頭葉の間で分けるようにと教えられます.
が,最近はそれにこだわらず,静脈と静脈の真ん中でもいいような風潮があるかと思います.私もそう思ってました.
(もちろん,Temporal polar app.等という特殊な場合は別です)
でも,静脈を前頭葉との間で分けて,側頭葉側につけるのには大事な意味があります.
Pterional app.では前頭葉に脳ベラをかけることが多いです.この時,シルビウス静脈が前頭葉側に残っていると,操作上,脳ベラでシルビウス静脈が圧迫されてうっ血してしまいます.その結果,シルビウス裂をさらに近位に剥離する際に,うっ血した前頭葉皮質から出血しやすくなります.個人差はありますが,バイポーラで前頭葉皮質を触るとすぐに出血して,未破裂の手術なのに術野が赤いなんて事態になりかねません.
長くなりましたが,そう言うこともあるので,なるべくシルビウス静脈は,脳ベラがかからないように側頭葉側につけましょう・・・という事になります.もちろん,静脈は個人差が大きいので,これにとらわれずにアプローチしやすいところで分けるのが一番だし,脳ベラのかけ方に気を遣う必要があります.

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