2008/04/18

Acom aneurysm (Acom AN)は開頭の側頭部を使う

以前にも書きましたが,つい忘れがちなのでもう一度.
左側のイラストはどちらも左開頭です.
Sylvian fissureを剥離して,前頭葉と視神経の間を剥離,Interhemiを剥離,前頭葉に脳ベラをかけてたところです.
この辺までは,顕微鏡を寝せたり立てたりして,前頭葉越しにSubfrontal気味にApproachすることも多いです





しかし,いよいよA1を追って,同側のA1-2またはAcomにApproachするとき,前頭葉をさらに持ち上げつつあるときは,開頭の側頭側のSpaceから光を入れて,見上げるように視野を撮りましょう.それで前頭葉のRetractionを軽くすることができます.
Acom ANの開頭は,とかく前頭葉側を大きくすることが強調されていますが(対側の視神経までしっかり視るためには,それも大事),クリップに必要な視野・術野を得るためには,実は側頭部側が大事なのです.
もう一回肝に銘じましょう.

2008/03/20

Distal ACA ANのこつ

Distal ACA ANはFalxからのびている結合織状のもので覆われていることが多いです.
動脈瘤をきれいに出すためにはまとわりついている周囲の結合織との剥離が必要です.周囲の結合織のほとんどは,Falxの続きのような硬いものなので,ある程度はどんどん切断していって,動脈瘤を露出することになります.





Distal ACA手術の時には,早めにFalx側に脳ベラをかけましょう.



この絵だと開頭が大きすぎますね.

2008/03/07

慢性硬膜下血腫手術のコツ

慢性硬膜下血腫(CSDH)は,スタンダードにBurrhole開けて,硬膜下腔を生理食塩水で洗浄しています.

術前のCT,MRIでは見えない,血腫の隔壁が存在することが多いです.術後のCTで初めてわかるような.
なかでも隔壁が脳と平行になっていて,血腫が骨側と脳側の2層になっていることがあります.こういうとき,Burrhole開けて洗うと,あっという間に血腫が出なくなり,思ったより血腫量が少ない感じがします.
術後のCTで表面側のみ血腫が無くなり,脳側にたっぷりと残るはめになり,CT室からそのまま術場へ逆戻りになりかねません.
そうならないように,洗浄途中でBurrholeから脳表が見えることを確認しましょう.Burrholeは小さいので,無影灯の角度を調節しなければ見えません.それと,硬膜下腔の血腫を吸引してしまわないと見えません.
これらの工夫をして脳表がちらっとでも見えれば,ちゃんと洗えている可能性が高いです.もちろん,Burrhole部以外のところまでは見えませんが,手術中にこれくらいの気遣いは必要と思います.

2008/02/09

SAHの手術は予測が大事


手術をアクシデント無く,スピーディに進めるためには,予測が大事です.当たり前ですが,意外と忘れがち.
SAHの時,血腫を吸って構造物を確認していきます.確実に見て確認することはもちろん大事ですが,いちいちそれでは時間がかかります.何も考えずに血腫を吸っていて,見えた時には血管を吸っているかもしれません.
左のイラストは,リリケスト膜を破るために,IC外側の血腫を吸っているところです.漫然と吸っていると,前脈絡叢動脈(Anterior choroidal artery)を引っかけるかもしれません.そこに血管があることを強く意識しながら血腫を吸うと,ちらっと血管が見えただけで,確認することが出来てトラブルを回避できます.







こちらは(前交通動脈瘤)Acom ANに向かってアプローチしているところ.右前頭葉を視神経と剥離しつつめくっていきます(動脈瘤は後ろを向いているので,すぐには出てきません.)
聞かれれば,そこにA1が出てくるのは知っているはずですが,ついついめくってみて,見て,初めて手が止まります.
そうではなくて,そこにA1があるのを強く意識して(警戒して)めくっていけば,血腫の間からちょっと見えた段階で,手が止まり安全に手術を出来ます.

しつこいですが,当たり前のようで,いざその時に忘れがちです.

2008/01/26

ヴォイニッチの科学書で読んでもらいました.


手術に関する話ではありません.

脳神経外科速報 のおすすめの1冊,1枚,1軒というコーナーに,ほぼ毎月投稿しております.
2008年1月号に くりらじの科学系Podcastヴォイニッチの科学書を紹介いたしました.

せっかくなので番組に掲載された雑誌をお送りしたところ,番組内で取り上げていただきました.

とてもおもしろく,かつためになる番組なので,ぜひ一度お聞きください.































2008/01/14

Pterional approach 静脈はなるべく側頭葉側に残す理由

年末年始,更新するパワーを失っておりました.
年賀状で,奇特にもここを見てくれている方がいるとわかりましたので,今しばらく更新を続けようという活気がわいてきました.
2007年末はCEAを毎週していてたので,クリッピングや血腫ネタはあまりなくて,CEAネタが増えそうです.
と,言いながら今回は動脈瘤ネタです.


前頭側頭開頭,Pterional approach(Transsylvian approach)で,最初にすることはSuperficial sylvian veinを分けることですが.初心者には一般的に静脈と前頭葉の間で分けるようにと教えられます.
が,最近はそれにこだわらず,静脈と静脈の真ん中でもいいような風潮があるかと思います.私もそう思ってました.
(もちろん,Temporal polar app.等という特殊な場合は別です)
でも,静脈を前頭葉との間で分けて,側頭葉側につけるのには大事な意味があります.
Pterional app.では前頭葉に脳ベラをかけることが多いです.この時,シルビウス静脈が前頭葉側に残っていると,操作上,脳ベラでシルビウス静脈が圧迫されてうっ血してしまいます.その結果,シルビウス裂をさらに近位に剥離する際に,うっ血した前頭葉皮質から出血しやすくなります.個人差はありますが,バイポーラで前頭葉皮質を触るとすぐに出血して,未破裂の手術なのに術野が赤いなんて事態になりかねません.
長くなりましたが,そう言うこともあるので,なるべくシルビウス静脈は,脳ベラがかからないように側頭葉側につけましょう・・・という事になります.もちろん,静脈は個人差が大きいので,これにとらわれずにアプローチしやすいところで分けるのが一番だし,脳ベラのかけ方に気を遣う必要があります.

2007/12/23

CEAの剥離は縦方向に

CEAの血栓を剥離する時は,主に縦方向が良いようです.北海道大手の某記念病院ではそのようにしているそうです.
縦方向に剥離した方が,剥離すべき層を確認しながら,残す中膜が薄くなりすぎないようにできます.
もちろん,顕微鏡を動かして,はがすところをしっかりと直視下におさめるのは必須です.
最初にはがすきっかけをつくる時は横方向でもいいと思います.
ただし,そのまま横方向ではがし続けると,思わぬ層に入り込んで,残す層が薄くなりすぎて穴が開くおそれがあります.

2007/12/05

Temporary clipの原則


ついついテンポラリー(Temporary clip)はかけないで行きたくなることも多いですが,破裂や動脈瘤が大きい場合は躊躇しないでテンポラリークリップをかけるようにしたいものです.
テンポラリークリップをかける原則ですが,動脈硬化の部分は挟まないようにとか,もちろん,穿通枝(特にHeubner!!)は絶対にはさまないようにとかありますね.
あんまりいっぱい使うと,けっこう手技のジャマになりがちです.
ちょっと曲がったテンポラリーを使う場合には,図のように,挟む部分は視野の中に入れて,挟んでる部分がしっかり見えるように,かつ,Clip headは手技の邪魔にならないように,なるべく動脈瘤から遠いところにするようにしてみましょう.

2007/11/19

Lateral suboccpital 体位のキモ

Facial spasmのMVDやVA-PICA ANの手術ではLateral suboccipital approachですが,体位のコツを掲載します.
頭部は3点ピンで固定します.

いきなり最大のキモですが,頭部を回旋させません.昔は,Park bench positionの様に頭部をやや下に向けて回旋したそうです.その方がのぞき込みやすい感じがしますが,小脳がかぶってきてしまいます.最近の流行は,頭部の前後方向は水平です.


頭を水平に向けて,そこから回旋させず,頭頂部側のみ下に下げます.
肩は足側に引きます.

















頭部(顔面)を下に向けるように回旋させると(だめじゃないですが),小脳が手前からかぶさってきてしまいます.

2007/11/09

STA-MCA吻合はかかとから

STA-MCA吻合のStay sutureは,先にSTAとMCAの角度がせまい,STAの「かかと側」(左図①)から縫った方がよいようです.
先に「つま先側」(左図②)から縫うと,「かかと側」がせまくてとても縫いづらく,遮断時間が長くなってしまう一因になります.



遮断時間を短くするためには,こんなささいな工夫の積み重ねです.

2007/09/23

開頭血腫除去のコツ02

血腫は必ず見えているところでとる.
Croticotomyをして血腫のあるところまでたどり着いたら,脳ベラなどで,血腫のギリギリ上で皮質を引きます.(図では手前に引いています)引いた分だけ血腫が押し出されるように,出てきます.
直視下の血腫を太めのサクションで吸い出します.
大事なことは,直視下にある血腫のみを吸ったりとったりすることです.
血腫をどんどん吸引して,追いかけていきたくなりますが,脳でブラインドの部分には決してサクションをつっこんではいけません.見えない血管を引き抜いて出血したら,処置に難渋します.直視下の血腫が無くなったら,今度は違う方向の皮質を引いて,出てきた血腫をとりましょう.
余計なトラブルがないことが,血腫取りを早く終わらせるこつの一つです.

2007/09/09

サクションでカウンター

動脈瘤があらわになり,Neckを確保して,クリップを選んで,一回クリップを当ててみて,一息ついて,それではクリップをかけます!
クリップをかけるときに,左手は何を持って何をしてますか?
クリップを速く確実にかけるために,左手を気にして積極的に使いましょう.
その一つとして,クリップを挿入する方向と反対にNeckからカウンターをかける動きがあります.
MCAなどで動きやすい動脈瘤は,ブレードがNeckの奥に滑っていかないで,クリップと動脈瘤が一緒になって奥に動いていってしまうことがあり,そのままクリップを閉めると先端が足りないという事態になりがちです.先端が届かないからと,グイグイ押していると破ってしまうおそれもあります.
そこで,サクションを使ってカウンターを当てて,確実にかけるようにします.
特に有効なのは,図の下側の動脈瘤のように,Neckのはっきりしない滑りやすい動脈瘤です.このような動脈瘤は滑りやすいので,逃げられないようにしっかりとカウンターを当てましょう.
カウンターを当てるところはNeckよりすこしProxymalの母動脈がいいと思います.もちろんDomeそのものに当てるのは危険です.Neckも裂けるかもしれないのでやめた方がいいです.

・・・それと,左手に何を持つかという問題があります.それまでの手術の流れで細いサクションを左手に持っていることが多いかと思いますが,カウンターを当てるには引っかかりが悪いので,玉突き棒のような別のデバイスが使いやすいです.破れてしまったときには,細いサクションでは対応できないので,思い切ってサクション以外のものを持ってみるのをおすすめします.

2007/08/31

動脈瘤へのアプローチは,「血管から離れない」

動脈瘤に近くなってきて,親動脈を確保できたら,Neckに近づきますが,このときの鉄則は「血管から離れない」です.
左図はAcomに対する右Pterional app.です.
両側A1を確保して,血腫に埋もれたANに近づいています.もちろんDomeは血腫に埋まっているのでどこにあるのかわかりません.安全・確実に近づくには,玉突き棒(棒やヘラでも良いですが)を血管から離さないようにしましょう.先端を血管にあてつつ,血腫をめくっていきます
くどいようですが,血管から離れないようにしておけば,いきなりDome先端をいじって破ることはありません.

そんなことは常識のようですが,疲れて集中力が無くなっていたり,夜中の手術で早く終わらせたい気持ちが入ってくると,血管をなぞっていられなくて,近道して血腫に向かってしてしまうことがあるのですよ.やってる本人は無意識で,吸い込まれるように血腫をいじり出すことがありがちです.くれぐれも気をつけて!


こちらは右IC-pcと思ってください.ピンクの矢印(ちょっと見づらいですね)のようにいきなりDomeに向かっては行けません.
丁寧に血管に沿って少しずつ血腫をNeck,Domeに向かってめくり上げていきます.スカートをめくるようにと言う話があるとかないとか・・・
めくって血管から浮いた血腫は,切って開いて視界を良くするようにしましょう.

2007/08/19

CEA 内シャントチューブを入れやすくするには

CEAで緊張するときは,内シャントを挿入するときです.
血管を遮断時間を短くしたい中で,
1.CCA~ICAの血管壁を切る.
2.PlaqueのDistalで内頚動脈の正常内膜の部分を確認.
3.内シャントチューブをICAに入れる.バルーンはちょっとだけ,血液の逆流確認.
4.CCAにシャントチューブを入れる.バルーンをしっかり入れて,血液の逆流を確認して再開通.ようやく一息つけます.


ここでトラブル起こりがちなのがICAにシャントを入れるとき.
このように,それなりに急いでいるときに,シャントチューブがICAになぜか入っていかないことがあります.
そんな時に,チューブをグイグイ押すのは,もう絶対に禁止です.
押しすぎるとICに穴が開いてしまうことだってあるのです.あくまでやさしくそおっと入れること.
ちょっとしたコツは,図示の如く,ICAとなるべく平行にチューブを入れること.ICに対してなるべく角度をつけないように,手前から低い位置にしておくことです.

2007/07/27

バイポーラの使い方Tips~手前の血管を焼かないように~

止血したいところの手前に血管があって,一緒に通電してしまう位置関係になってしまうことがあります.
この状況に気づかないと,結構太い静脈をつぶしてしまうおそれがあります.
または,それを避けようとして,あらぬ方向からバイポーラを術野に入れて,なかなか止血できない事態に陥ります.







そんな時は,バイポーラを長軸に90度回転させて,焼きたくない血管にはバイポーラが片側しか接触しないようにしましょう.
これで,無理のないバイポーラのポジション,方向で止血できます.
ただ,どうしても脳表を面で焼きたい時は,バイポーラを縦に出来ないので,バイポーラを入れる方向を工夫する必要があります.